金鳥ブランドで知られる大日本除虫菊(大阪市)が、アース製薬に対し、蚊を防除するスプレーに関する特許権(特許第7026270号)を侵害されたとして提訴した訴訟において、東京地裁は、2025年12月17日、本特許は特許請求の範囲が不明確であり無効理由があるとして、大日本除虫菊の請求を棄却する判決を下しました。
訴状などによると、大日本除虫菊は、蚊が飛んでいる時間よりも壁などに長く止まる習性を発見。スプレーの噴射方法などを調整して薬剤を壁などに付着させることで蚊を防除する技術を発明し、「蚊がいなくなるスプレー」シリーズとして発売しています。アース製薬の「おすだけノーマット」シリーズの製品は、この技術を模倣したもので特許権を侵害していると主張していました。
これに対し、アース製薬側は、大日本除虫菊の特許権を侵害していないと反論するとともに、本件発明の「付着性粒子」が不明確であること、先行の文献や製品に基づき容易に発明することができたこと等から、そもそも特許は無効であると主張していました。
東京地裁は、本件発明の「付着性粒子」の意義について、「処理空間内にエアゾール原液が噴射されて形成された薬剤粒子であって、処理空間内の露出部(例えば、処理空間内に存在する床面や壁面、家具等の構造物の表面等)に付着し、時間が経過しても付着した状態を維持し、露出部に止まる蚊を駆除・防除する粒子である」と解することができると判断しました。
しかし、本件明細書に、「時間が経過しても付着した状態を維持」といえるための付着の程度についての具体的な記載はなく、これを確認する試験方法、測定方法等についての記載も見当たらないから、本件明細書の記載をもって、本件発明が規定する「付着性粒子」の意味内容を理解することはできないとして、本件発明は明確性要件を充足せず、本件発明に係る特許は特許無効審判により無効にされるべきであると判断しました。
大日本除虫菊は同日、知的財産高等裁判所(知財高裁)に控訴する考えを表明しています。